持家と借家とでは社会的信用がまるで違う。特に四十代以上で借家では、家の一軒も建てられなかった人として評価されてしまう。これまで何をしていたのだろう、と疑われてしまう。転職に当っても、借家住い、では採用者側の評価が厳しくなる。つまり、社会的信用が著しく低くなる。社会には、目に見えない評価のモノサシがある。「四十代には家の一軒は」「幹部は外国語の一つは話せなくては」これらは、暗黙のモノサシだ。一度しかない人生、自分の思うように生きてみたいものだ。そのためには、早く基盤をつくり、自由に働けるようにしたい。若いうちは、家なんて必要ない。ローンに三十年も追われるなんてまっぴらだ。新しいところへ、次々と移り住んだ方が快適だ。という考え方でもいい。だが家庭を持ち、あるいは独身でも歳をとってくると、職場はなく、住いもなくなる。ある通信教育会社の事務員は言う。「この前、七十三歳の老人から手紙がきたの。その中には、この通信教育を受けて就職したい。この歳になると雇ってくれるところがない。家賃も生活費も上がって、年金では生活できなくなってきた。何とか就職の世話をしてくれないだろうか。この歳まで生きるなどとは思ってもみなかった」この老人、若いころから稼いだ金は全部使ってしまったのだという。若いころ苦労して財産を築くことをせず、老後になって後悔しても、もう遅い。通信教育会社に就職まで頼むとは、余程困っているのだろう。若い時からの備えの必要性が痛感される。
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